ペスト(菌)とは病名で感染によって起こる急性感染病です。
ペスト以外にも有害生物全般についてコントロール(制御)することを言います。
人間に有害な生物の活動を生活を害さないレベルまでに制御する技術を
「ペストコントロール」と言います。
ペストの歴史と原因
ペストはヨーロッパで大流行した伝染病で、13~14世紀に人口の1/3が亡くなったといわれる怖い病気です。ペスト菌を持ったネズミの体に付着していたノミが人間を吸血して病気を拡散すると判明し、積極的にネズミ駆除を行った結果、伝染病の大流行は治まりました。近年のペストという言葉は「害虫・様々な有害物質」のことを指すようになりました。
コントロールの目的(管理・抑制)
人間の生活する許容範囲に様々な「害虫・有害生物」からの影響と不快を減らし、繁殖させない様にするなど、人害を防ぐレベルを「コントロール」と言います。
「総合」とは様々な防除対策を組み合わせて行うという意味で、薬剤偏重による環境
への悪影響を低減すると共に、より効果的な防除を目的とした手法です。
具体的には、予め防除対象生物や場所ごとに「維持管理基準」を定め、事前調査により問
題点や維持管理基準を超える場所をその都度見定め、状況に見合った最適な防除対策を
実施し、実施後にはその効果をきちんと判定します。
IPMの誕生
IPMの考え方が生まれたのが外国で、元々は農作物を有害生物から守る手段として始まったものです。繰り返し殺虫剤などで害虫駆除を行い続けても、殺虫剤が効かない虫が出現してしまうことがあり、もっと効果的な方法を考えようということになりました。


環境的対策
有害生物が住みにくく
生れにくい
環境に改善する。
化学的対策
薬品を用いて追い払ったりやっつけたりする。
生物的対策
天敵を用いてやっつける。
物理的対策
機械や器具を用いて
追い払ったり
やっつけたりする。
市販の殺虫剤を用いるのは、化学的対策です。
これだけで良い効果がでないのであれば、その他の対策もいろいろ組み合わせて行います。
人や自然環境にもやさしい方法がIPM
殺虫剤による対策は他の対策に比べてあまりお金や手間がかからないということもあり、昔から広く使われてきました。しかし有害生物にだけよく効いて、その他の生き物や自然環境に全く影響のない薬品というのは存在しません。
IPMの問題点
化学的対策以外の方法は、効果が出るのが遅かったり大変なお金や手間が掛かったりします。ですから単純に殺虫剤を使わないというのではなく、その場の状況をよく観察して「先ずはどこまで有害生物を減らせば実際の害を防げるのか?」「どんな対策の組み合わせが良いのか?」「それはいつ行うべきなのか?」などをきちんと計画してから実施する必要があります。IPMは有害生物それぞれの習性や様々な対策の知識を正しく学習し、知識技術を併せ持ったペストコントロールの専門家でなければ難しいでしょう。